萩 陶芸大リーグ2012 五日目
五日目は県内の窯元見学と萩市美術館見学と勉強会です。
まずは講堂で
・萩焼の歴史
・萩焼らしさとは
・伝統について
・陶芸とは芸術なのか
についてのお話がありました。
印象に残ったのは
「もし陶芸が芸術なら、使う側にこびるほどみっともないことはない」
という言葉でした。
いまある芸術性が10%なら、1%でも増やせばよい。
それがいつかは50%、100%と増えていく。
陶芸は趣味として学ぶ人が多い。
趣味は好みで決める情緒的な考えを持つが芸術はそれではダメなのだ。
作るものの論理を大事にしろ。
自分の茶碗が大きいとか、扱いにくいとか言われても好きなものを作る。
contemporary(現代性)creature(創造性)sensitivity(感性)philosophy(哲学)
この4つを兼ね備えたものが芸術ではないか。
斉藤先生のお話は理論だっていて説得力がありました。
この価値観が、食器としての陶芸と、アートとしての陶芸の違いなのでしょうね。
続いて窯元見学です。
まずは13代目、坂高麗左衛門先生の窯元へ。
すべて藩の支配した窯で、毛利家から陶工を任ぜられた書が残っています。
(これはレプリカです。スマホで撮ったし、薄暗い床の間の上の方にかけられてボケボケでごめんなさい)
窯やギャラリーを見せていただき続いて大和保男先生の窯とギャラリーへ。
作品の前で、「器の中に芸術がある。」と熱く語り、模倣ではなく常に新しいものへの探求心と創作意欲に圧倒されました。
次は長門にある深川窯へ。
窯の前で田原陶兵衛先生のお話をお聞きしました。
「朝鮮を模倣して、わざわざ白い粘土に鉄分の多い粘土を混ぜ、それに化粧土をして景色を楽しむ。朝鮮の高台を見て、『唯一無二』とありがたがる。」
殿様の興味を面々と受け継ぎ、手間暇をかけて作るのが萩の器で今の姿だそうです。
また「おもしろいもの」の定義として「失敗の一歩手前にあるものにある」という登り窯の美学をお聞きして、陶芸への飽くなき追求を感じました。
田原陶兵衛先生の茶碗です。
その景色はすばらしかったです。
その後、江戸時代の窯を見に行きました。
昔は12軒の陶工たちが一つの窯で共同で焼いていたそうです。
今は朽ちてしまった窯ですが、当時の棚板の天秤が残っていました。
この棚板の中に皿は目を置き重ねて焼き、手前の方にはさやにいれ重ねて焼成したそうです。
天秤の支柱は太く、あまりたくさんのものを置けないから「目」ができ、それが景色になったと、あとから植草先生からお聞きして納得でした。
途中、食事や醤油ソフトクリームなど食し、最後は「萩陶芸美術館」での美術鑑賞と対談のお話をお聞きします。
美術館は三輪休雪先生のオブジェを前に、先生ご自身からの説明を受けました。
その足で特設展の「龍泉窯青磁展」も鑑賞。
そして今日のメインイベント三輪休雪先生と、柳原睦夫先生の対談による「陶芸の浪漫」です。
印象に残ったお話は休雪先生の
陶芸で「作陶」だけを切り取ってもうまくならない。
人間性が豊かでないと良い作品にはならない。
芸術作品はそのひとが生み出すものである。
一人の人間のあり方が、根底で支配している。
お聞きしていてそれは漫画家手塚治虫氏が語っていた、
「良い漫画が描きたければ、良い映画を観なさい。良い絵を観なさい。良い本を読みなさい」に通じるものがあると思いました。
柳原睦夫先生は陶芸を教える時に「花を観ろ」ということをお話しされているそうです。
器はチューリップにたとえると、ツボミはろくろをひくイメージ。
それを開くと鉢になる。
開花し落下する寸前は皿になる。
花が開こうとする力はろくろの開く力である。
このメソットは立体的に頭の中にイメージできました。
対談後の質問では「下手なもの、初めてのものの美しさ」についてや、休雪先生の「なぜ陶芸が自己表現のツールになったか」などのお話をお聞きして、先生方の熱い想いを感じ取りました。
メモした文章が走り書きで悪筆で、読めなかったところを記憶で埋めようとしても思い出せず四苦八苦でしたが、植草先生から毎日お聞きしているお話も、五日目にたくさんの先生方からお聞きしたお話も、萩焼に対する思いと、伝統に縛られず新しい芸術を求めて陶芸と向き合う姿をがひしひしと伝わってきて感動的でした。
残る日数、丁寧に陶芸に取り組もうと思います。
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コメント
坂倉新兵衛さんではなく、田原陶兵衛さんですよ。
投稿: 戦力外 | 2012/08/28 12:13
戦力外さん、コメントをありがとうございました。
ご指摘もありがとうございます。
さっそく書き直しました。
もしかして、と想像できる方はいらっしゃるのですが、違ったら申し訳ないので書かないことにいたします。
暑かったけど充実した一週間でしたね。
投稿: 陶片木 | 2012/08/28 17:46
想像されている方と同一人物かわかりませんが、期間中はお世話になりました。もともと作陶自体は二の次と考えての陶芸でしたが、大会参加以来、作陶意欲が上がっています。次、お会いする時にはかなり上手になっていると思います(笑)。
投稿: 戦力外 | 2012/09/07 23:43
戦力外さん、コメントをありがとうございました。
想像通りでした。(^^;;;
その節は本当にお世話になりました。
素敵なお茶碗が焼けましたよね。
あの水墨画のような景色。
もう一回同じものをと思っても、二度と作れないすばらしい景色でした。
facebookにメンバーが何人かいますよ。
よろしかったらいらっしゃいませんか?
投稿: 陶片木 | 2012/09/08 06:57
Facebookの友達申請の受理お願いします。笑
投稿: 戦力外 | 2012/09/12 08:38
戦力外さん、コメントをありがとうございました。
メールを送りました。
捜せなくてごめんなさい!
私はアルファベットです。
投稿: 陶片木 | 2012/09/12 18:59
戦力外さん
メールを送ったのですが戻ってきてしまいました。
ごめんなさい。
投稿: 陶片木 | 2012/09/12 19:18
お手数おかけしてます。
陶片木さんのFacebookアカウントはわかってます。先ほど改めて申請し直しました。名前が違うためわかりにくいと思ったので、Facebook上でもメッセージも送りたかったのですが、設定なのか、仕様なのかメッセージが遅れませんでした。メールアドレスも今回は使える奴を書きましたので、何かあればそちらにお願いします。
投稿: 戦力外 | 2012/09/13 09:36
戦力外さん、コメントをありがとうございました。
了解しました。
なぜメッセージが送れなかったのか分からないのですが
facebookでもよろしくお願いいたします。
投稿: 陶片木 | 2012/09/13 19:37